音の加工

効果音の「加工」と「合成」

効果音の世界では、大きく分けて「現実音」と「加工音」があります。現実音は言うまでもなく、耳で聴いたとおりの音ですが、音を加工することにより、全く違った音、或いはイメージした音に近いものに変身します。今回は音作りに欠かせない「加工」と「合成」についてご紹介いたしましょう。

1.テープの回転速度を変化させる加工

音の加工としては、代表的な手法です。通常の再生スピードを、あえて可変させることにより、一つの音が何通りにも変化する場合があります。たとえば、川のせせらぎなどの水音の再生スピードを変化させると、雨やシャワーに聞こえたり、地鳴りに聞こえたりします。実際に該当する文字をクリックして音を聞いてみてください。

2.ドップラー効果としての加工

救急車など、サイレンが通過するときに音程が下がる現象ですが、実はサイレンのスピードそのものも遅くなっているからです。つまり、ノーマルスピードで録音したサイレンの回転速度を急激に下げる事により通過した感じ「ドップラー効果」の音として表現するわけです。サイレンの他に電車の警笛、車のクラクションなどがありますが、プァーン!とかピーといった具合に音のストロークが長い方が効果がわかりやすいです。

3.イコライザーによる加工

イコライザーを一言で言えばズバリ「音質」です。CDラジカセやオーディオコンポに「高音」や「低音」「BASS」「TREBLL」などの調節がついたものを見たことがありませんか、これがイコライザーです。高音を強調するとシャキシャキとした音になり、低音を強調すれば、ズンズンとどっしりした音質になります。このイコライザーの効果を日常生活の中で感じる例としては、人の声やトイレの水音をドアが開いている状態では明瞭に聞こえますが、ドアを閉めた状態ではこもった音に聞こえます。このような音質の変化を意図的に作り出すのが、イコライザーによる加工の原理です。

4.反響と遅延による加工

わかりやすく言えば、お風呂やカラオケのエコーのように原音に対して、「響き」や「艶」を付ける加工方法です。例えば足音にエコーを付けると怖い感じに聞こえます、また台詞にエコーを付けると回想シーンになるといった感じです。

音の遅延(ディレー)による加工については、例えば、学校の校庭で呼び出しのアナウンスがあった時、言葉に余韻が付く状態を思い浮かべてください学校のスピーカーから出たアナウンスは、建物やいろいろな物に音が反射しながら聞いている人の耳に到達します、その際、スピーカーから直接伝わる音と、物に反射してから到達する音では時差が生じ、音がずれて聞こえるようになります、実際に聞いて頂ければおわかりになると思います。

5.実技編

さて、実際に上記のことを加工するとどのように聞こえるか作ってみます。(今回は救急車のサイレンです)

  1. まず、音源と等距離で録音したサイレンを用意します。
  2. そして通過する感じを出す為、テープの回転を落としてドップラー効果を表現します。
  3. 通過する前後の音を、イコライザーで音質補正し近づく感じと、遠ざかる感じを表現します。
  4. さらに街の建物に反射する感じと距離感を出します為にエコーとディレーをかけます。
  5. 上記で加工したサイレンに車の通過をプラスすれば出来上がりです。

田久保 貴昭

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